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事実婚とお金のこと① ~ 事実婚と内縁とどう違うの?統計・事実婚契約書とは~
2024.01.10 ファイナンシャルプランニング
アミアカルヴァ株式会社 ファイナンシャルプランナーの竹原庸起子です。
アミアカルヴァ株式会社の相談室には家庭環境に応じた相続の対策や婚姻・離婚についての相談も多く寄せられます。
今回からのシリーズでは、「事実婚・内縁と財産のこと」にスポットを当てて実例を織り交ぜながらお伝えしますね。
<事実婚と内縁との違いは?>
新聞雑誌、テレビなどで「事実婚」という言葉をよく聞くようになりました。ひと昔前は「内縁」という言葉の方が多かったかもしれません。
では「事実婚」と「内縁」との言葉の違いと使い分けはどうなっているの?
と、相談者から聞かれることもあり、アミアカルヴァ株式会社の相談員はどう答えているのでしょうか。
まずは辞書で調べてみました。
「事実婚」とは「法律上の婚姻をしていないが、社会的に夫婦と同一の生活を送っていること。」を言います
「内縁」とは、さきほどの事実婚要件に加えて、「特に、婚姻の意思がない場合のこと」をいいます。
つまり、社会的には夫婦同然の生活であり本人たちに「婚姻している。夫と妻である」と周りに証明できる場合は「事実婚」、
社会的には夫婦同然の生活だが、本人たちは「婚姻しているとは思ってない、いっしょに暮しているのでまわりから夫婦だと思われてもしかたがない場合は「内縁」であると、
お答えしています。(出典:大辞林第3版)
しかし、これだと漠然としすぎていますし、だれがどう証明するんだろう?と疑問ですね。
そこで、ほかにも定義を調べてみました。「現行の婚姻制度になんらかの疑問を持ち、あえて届出をしない夫婦、
姓を変えるつもりはないので届出をしなくてもいいと思っている夫婦」も「事実婚」としてみています。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)
なるほど・・・・・と思われましたか?
では、第三者に客観的にどのように「事実婚」を証明するのでしょうか。
アミアカルヴァ株式会社の相談員が「事実婚」であると申し出た相談者にまずお聞きするのは
~住民票上の住所が同じで、同一世帯で、女性の続柄に「妻(未届)」と記載されているかどうか~です。
一緒に住んでいるだけではなく、住民票という公的なものでここまで記載されていると、「事実婚」であると証明しやすいのです。
(あくまで証明力の問題ですので、この記載がないからといって事実婚を否定されるわけではありません)
つぎに、「婚姻についての統計データ」と「事実婚契約書」についてお伝えします。
<参考に法律婚の統計を>
最新の婚姻に関するデータを見てみましょう。
(出典:人口動態統計月報(概数)(平成30年12月分(年計を含む))
平成30年の婚姻数統計は590,000組で、その前年(平成29年)606866組から約17000組減っています。
これは法律婚、つまり戸籍上の届け出をした件数の統計です。事実婚の統計データはありません。
さきほど、「住民票の続柄に「妻(未届)」とすることにより、事実婚の証明になるとお伝えしましたが、
ほかに夫婦になるパートナー同士で口約束ではない証明が欲しいというご依頼もあります。
法律上の婚姻ではないので、お金の取り決めとしても書類に残しておきたいという思い
そんなとき、事実婚を始めるご夫婦にご提案するのが「事実婚契約書」なのです。
「婚前契約書」「婚姻契約書」ともいいます。
お互いの意思を確認するための書類であり、正式な制度ではなりませんので、法的効力は弱いものですが、
法律上は夫婦ではなくとも、婚姻の意思をもって「事実婚」を選ぶカップルが、婚姻時に、その後の婚姻期間中や万一別れるときのお金の取り決めをしておくことができます。
法律上の戸籍制度で保護されないからこそ必要な書類として、徐々に浸透しています。
次回以降でその事例をお伝えしますね。