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「遺言の付言事項」とは
2023.02.24 相続・遺言
アミアカルヴァ行政書士法人です。
公正証書遺言書サポートのお手続きをお受けしたとある親子の事例から
「遺言の付言事項」についてお伝えします。
この親子のお母さんが長女へ全財産をあげますという遺言でした。
お母さんには長女と長男と二人のお子さんがいました。
お母さんは夫に先立たれてからは長女夫婦とその子(孫)と同居し、面倒を見てもらって過ごしてきました。
長男は就職後、関東へ赴任してからは、盆と正月ですら帰省しなくなり、どこにいるかはわかるけれど何も交流がない状況になりました。
遺言書は公正証書で遺すことになり、長男の遺留分に配慮した内容にしましたが、
お母さんからの「なぜ全財産を長女にという遺言にしたのか、長男にわかるようにしておきたい。
長女への感謝の念を、自分が死んだ後でも家族で感じてほしい」という申し出から、
アミアカルヴァグループの専門家は「遺言の付言事項」を提案しました。
「遺言の付言事項」とは、
法的な効力はないけれども遺言書の末尾に記載できるメッセージのことを言います。
この付言事項を活用することにより、遺言をした人が死んだあと遺された家族の争いを防ぐこともできるかもしれないのです。
このお母さんは次のような付言事項をのこしました。
「長女○○には長年世話になった。その夫の〇〇さんにも良くしてもらって、感謝しかない。
長男○○も大切だが、就職後にほとんど会えなくなり、私が病気をしたときにそばにいてくれたのは長女とその家族だった。
長男○○には、留学費用や生活費で十分にお金を渡したから、遺留分は請求しないでほしい。いままで本当にありがとう」
公証役場でアミアカルヴァグループの者が2名証人になり、この遺言書の調印をおこないましたが、
お母さまは涙を流して泣いていらっしゃいました。
この事例では付言事項に「相続分の指定について、そうした理由」を書きましたが、
ほかに付言事項に書ける内容は次の通りです。
・葬儀や法要の方法
・親族・兄弟姉妹間が仲良くやってほしいという思い
・代々伝わる家の家訓などを守ってほしいという思い
・献体や遺体の処置方法について
・自分が興した商売を引き継ぐ人への願い
付言事項を活用されるかたは増えています。
お手紙を公正証書に残しませんか?