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〈投資初心者のためのやさしい資産運用シリーズ〉 第2回:投資を続ける秘訣とは?~投資歴20年以上のファイナンシャルプランナーがここだけの話を伝授~
2025.07.01 ファイナンシャルプランニング
大阪府門真市のFP事務所as is代表ファイナンシャルプランナーの南真理です。
本シリーズ「投資初心者のためのやさしい資産運用シリーズ」、第1回では【投資信託のメリットとデメリット】についてご紹介しました。それを踏まえ、第2回目の今回は、「投資を続けるための秘訣」についてお伝えしていきます。
投資信託を活用した資産形成は、基本的に長期的な運用を前提としています。始めたからといってすぐに利益がでるものではなく、時間をかけて育てていく必要があります。せっかく第一歩を踏み出したにもかかわらず、途中で挫折してしまうことは本当にもったいないことです。そこで今回は、投資を無理なく継続するために必要な考え方と実践のポイントについてわかりやすく解説していきます。
―なぜ投資が続かないのか?
投資を始めた方の多くが、相場が下落した際には大きな不安を感じるものです。たとえば、2025年4月、トランプ政権による相互関税政策の影響で株価が大きく下落する局面がありました。相場の急落は、長年投資を続けてきた経験豊富な投資家でさえ、不安を抱えるものです。ましてや、投資を始めたばかりの方やこれから始めようと考えている方にとっては、このような相場の下落はなおさら不安材料といえるでしょう。
「始めたのはいいけれど、この選択は間違っていたのでは?」
「評価額が下がってしまい、怖くなって売ってしまった...」
こうした心理的な不安や行動は、決して珍しいものではありません。大切なのは、そうした不安とどう向き合っていくかということです。
―初心者でも実践できる投資を続けるための3つの秘訣
冒頭でも申し上げた通り、投資信託による資産運用は、基本的に長期運用を前提としています。こうした長期的な視点で資産運用を続けるために大切な3つのポイントについて解説します。
① 人任せにしない―「自分で理解すること」が不安を乗り越える力になる
よくお客様からは、「おすすめの商品はどれですか?」とご質問をいただくことがあります。もちろん、信頼してご相談いただけるのはとてもありがたいことです。しかし、投資信託は預金と異なり、元本が保証されている商品ではありません。相場が下がった際に、商品内容をよく理解せず購入していた場合、不安が募り、つい早まって売却してしまうケースも見受けられます。
投資において避けては通れないのが、「価格の変動」になります。たとえば、外国株式に投資する投資信託を購入したとします。この場合、米国をはじめとする投資先の企業決算が予想より悪かった場合や先にも述べたトランプ関税のように世界的に相場が不安心理に傾いたとき、その投資信託は一時的に下落する可能性があります。
このような状況の時に、商品内容や投資している投資信託がどういった理由で価格変動するのかを理解していなければ、「なぜ下がったのか」分からず不安だけが残ります。しかし、内容をきちんと把握していれば、「一時的な変動だ」と、冷静に受け止めることができます。理解することで不安を減らし、感情に振り回されずに投資を続けることができるのです。
投資は「自己責任」であると同時に、「自己理解」が非常に重要です。インターネットや書籍などを活用すれば、基本的な知識は自分でも学べます。分からないことはファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもひとつの方法です。
② 目的を忘れない―「なぜ投資するのか」がブレない軸になる
2024年のNISA制度改正をきっかけに、資産運用に対する関心が一段と高まりました。「非課税枠が拡大されたから」「周囲が始めているから」といった理由でスタートするのも、もちろん良いことです。ただし、本当に投資を長く続けたいのであれば、「自分はなぜ投資をするのか」という目的を明確にしておくことが何より大切です。
「老後生活を安心して迎えたい」「子どもの教育資金を計画的に準備したい」「将来のマイホーム購入に備えたい」...目的は人それぞれですが、「いつまでに、どれくらいの資産を築きたいか」といったゴールが、具体的であればあるほど、資産運用の方向性が明確になり、判断軸がブレにくくなります。「投資の目的を忘れないこと」―それは、長期的に投資を続けるための重要な秘訣であり、特に相場が不安定なときには、大きな心の支えとなってくれるのです。
③ 家計に必要な投資額を知る―「見える化」で安心のプランニングを
投資を始める前に、ぜひ考えて頂きたいのが「どれくらいの金額を、どれくらいの期間で、どの程度の利益を見込んで運用すべきか」という視点です。将来への漠然とした不安だけでは、長く運用を続けることは難しいかもしれません。そのためにも、ライフプランを作成し、現在から将来にかけての収入や支出、目標資産額を「見える化」することが非常に重要です。
たとえば、つみたて投資で毎月一定額を積み立て、20年後に老後のために2,000万円の資産を築きたいという目標があるとします。この場合、想定利回り※(年率)5%としたとき、必要な毎月の積立額は約5万円となります。
※想定利回りとは、「1年間でどれくらいのお金が増えると見込まれるか」を示す目安の数字です。たとえば、想定利回りが「3%」の場合、100万円を運用すると、1年後には約3万円増加が期待されるという意味になります。この数値はあくまで予測であり、実際の運用成果を保証するものではありませんが、将来の資産形成を考える際の参考指標として活用されます。
このように「何のために(目的)」「いつまでに(期間)」「いくら準備するか(目標金額)」を明確にするためには、人生設計であるライフプランの作成が非常に有効です。これらがはっきりしてくると、「投資は怖いもの」「損をするかもしれない」といった漠然とした不安が、「この金額でこれだけ準備できる」という前向きな意識に変わっていきます。また、家計収支に無理のない範囲で投資額を設定することが、長期的に資産運用を継続する大きなポイントです。
―損をしたからやめるという選択はもったいない
中には、「昔勧められるままに投資信託を購入して損した。それ以来投資はしていない」という方もいらっしゃいます。確かに、内容をよく理解せず始めてしまい、下落時に慌てて売却して損失が確定するケースもあります。
しかし、損をしたからもう投資をしないという考え方は、将来得られたかもしれない利益の機会を手放しているかもしれません。物価がこれだけ上昇している今の時代、預金だけに頼ることもリスクとなる場合もあります。だからこそ、自分で理解し、目的を持ち、無理なく続けることが、投資を前向きに続ける鍵だと考えています。
―自分の未来に向けて「続ける力」を育てる
投資信託は、資産運用の選択肢にすぎませんが、「長く続ける」という観点では非常に有効な手段です。そのためにも商品を理解し、自分の目的を明確にし、無理のない投資額で継続することが大切です。焦らず、ブレず、自分のペースで着実に進めていきましょう。
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筆者:南真理(ファイナンシャルプランナー)
〈プロフィール〉
17年間、大手信託銀行に勤務したのち、2022年FP事務所as isを設立。現在は商品を販売しないファイナンシャルプランナーとして活動している。主にはライフプランを作成し、資産運用の提案や家計改善のアドバイス、転職や起業したい方の経済面でのサポートなど、幅広く個人向けに相談業務を行っている。また、個人事業主向けの起業初期サポートや経理処理のサポートも行っている。相談いただいたお客様からは、丁寧で分かりやすい説明が大変好評をいただいている。また相談業務だけでなく複数のメディアでの執筆活動やセミナー・お金のお茶会を自主開催するなど幅広く活動している。

