~「病床遺言~ご逝去前の公正証書遺言書で一同が思いを一つに」

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コラム

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~「病床遺言~ご逝去前の公正証書遺言書で一同が思いを一つに」
2025.01.31 相続・遺言

 

 アミアカルヴァ行政書士法人代表行政書士竹原庸起子です

 今回は、10年以上前に竹原が知人からお受けした遺言書作成サポートの事例をご紹介します。

会社役員の60歳男性の妻(62歳)が大阪府内の静かな高級住宅地の一戸建てに住んでいました。

相談に来られたのは妻とそのお二人の長女(35歳)です。

男性には自宅の土地建物(単独所有)と、3000万円ほどの預貯金とがあるとのこと。

 

実は男性が国の指定難病にかかり、あと余命1カ月と宣告されたとのこと。いままで病気ひとつしたことなかった、仕事一筋の男性。あと1か月と聞いて家族は今できることをしておきたいと考えていた矢先に、男性が妻と長女に告白しました。

「実は、ほかに子どもがいるんだ。若かった時に結婚していない相手と子どもができて、いままで自分の給料からその子どもの養育費を、その子の母親に払ってきた。黙っていて悪かった。俺はもう長くは生きられないんだろう?俺はいちおう昔法学部で勉強していたから、その子どもにも相続の権利があることは知っている。いま俺がこんな状態だけれどできることがあるのか、急いで動いてほしい。今まで苦労かけた妻に全財産をあげたい。」

とのこと。

 ご相談者さまたちは、アミアカルヴァ行政書士法人に電話をくださり、相談員は

「急を要する内容だ」と判断しましたので、できる限り早めの相談日時を設定しましてごご相談を受けました。

 

 結論からお伝えしました。ポイントは次の通りです。

①病院に入院中の男性が万一のときに財産を妻のみにあげるためには、いま遺言書を残しておかなければならず、意思能力があるうちしかできないこと

②自分で書いた遺言書だとのちのち手続きが大変なので、公正証書にしなければならないこと、そして公証役場の公証人に病院まで出張してもらわなければならないこと

③遺言書をのこしても、結婚していない女性との間の子どもには「遺留分」があるので、遺留分を請求してきたときのことも覚悟してくこと

 これらのことと「時間がありません。遺言書をつくるためには、事前準備と当日の証人の用意が必要です」とお伝えしましたら、すべて任せるので急いでほしいとのことでした。

 

公正証書遺言作成のために必要な資料は1日で準備し、その翌日に公証人と証人2名とが病院の許可をうけて病室にいき、男性とそのご家族の思いにそった公正証書遺言書が完成しました。遺言の証人に立ち会ったアミアカルヴァ行政書士法人のスタッフは、その男性の家族に対する思いをすべて聞き取り、法的効力がないメッセージをご家族にお伝えしました。ご家族は全員号泣されていました。

 当方も証人になったスタッフも、主治医も一同が涙を抑えることができない瞬間でした。

 

 後日談がありまして、遺言を遺した翌日にその男性はお亡くなりになりましたが、遺言書のとおりに相続手続きができました。遺留分の請求はその後10年以内には行われていないようです。

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