教育費に過剰投資してしまうことの落とし穴  忘れてはならない長期目線と家計の状況把握

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教育費に過剰投資してしまうことの落とし穴  忘れてはならない長期目線と家計の状況把握
2024.07.11 ファイナンシャルプランニング

はじめまして。大阪府門真市FP事務所as isの代表ファイナンシャルプランナー南真理です。

「子どもをよりよい環境で学ばせたい」という親心は普遍的なものではないでしょうか。

そのため子どもを小学校や中学校から私立へ進学させる選択をするご家庭もあります。

しかし、教育費は長期的な目線での家計管理が欠かせません。

今回は、2人の子どもを私立小学校に進学させた共働き夫婦を例に、陥りがちな教育費への過剰投資に潜むリスクについて解説します。

 

収入があるがゆえに教育費にお金をかけすぎてしまう

 Aさん(会社員・40歳)は、私立小学校と中学校に通う2人の子ども(長男:中学校1年生・二男:小学校3年生)がいます。

長男の私立小学校進学を決めた当初、夫婦共働きで世帯年収約1,000万円(税金や社会保険料が引かれる前の金額)ありました。

収入面でも学費の心配がなく、充実した教育プログラムに魅力を感じ、長男を私立小学校に進学させることに。

4歳年下の二男も私立小学校に進学しました。

しかし、1年前の長男小学6年生、二男小学2年生の時、Aさんと同い年の妻Bさん(会社員)が体調を崩し、退職することに。

小中一貫校で長男はすでに私立中学への進学が決まっていた時のことです。

Aさん夫婦が子どもを早い段階で私立に進学させる上で、想定すべきリスクは何だったのでしょうか。

(これについてはのちほど説明します)

 

すべて公立の場合とすべて私立の場合とでは、教育費に約1,500万円もの差がある

 以下の表は、すべて私立の場合と公立の場合の幼稚園から大学卒業までの教育費の平均額を示しています。

 

※日本政策金融公庫HP。「教育資金はいくら必要?」から抜粋。筆者作成

 

幼稚園からすべて私立に通った場合、すべて公立の場合と約1,500万円もの差があります。

早い段階から子どもを私立の学校に入れることで、教育費が家計に与える影響はとても大きいことが、

上記の平均額からも分かっていただけるのではないでしょうか。

 

子どもを早い段階で私立学校に通わせることへの経済面でのリスクとは

 

では、Aさん夫婦は、子どもを小学校から私立に進学させる上で、どのような経済面のリスクを想定しておくべきだったのでしょうか。

 

① 世帯年収が下がる可能性があること

子ども2人の私立小学校への進学は、妻Bさんが仕事を辞めず正社員として働き続けることが前提でした。

Aさん夫婦は、今回のように将来どちらかが働けなくなるといった理由で、世帯年収が下がることを想定していなかったのです。

 

② 私立の学校に通っても習い事代は想定以上にかかること

Aさん夫婦の子どもの私立小学校は、割安な費用で放課後に学内で習い事ができるカリキュラムがあり、魅力を感じていました。

しかし、長男が小学校2年生の時、学外でサッカーを始めることになり、道具代や交通費に想定以上の費用がかかることになりました。

Aさん夫婦は習い事代にはそれほどのお金がかからないと思っていたのです。

 

Aさん夫婦は妻退職後も、習い事を含めた教育費は減らすことなく、子ども達をこのまま私立学校に通わせたいという意向がありました。

そのためライフプランを作成し、家計の見直しをファイナンシャルプランナーに依頼しました。

 

以下が、共働きの時と妻退職後の年間家計収支になります。

 

【共働きの収入】

手取り額:年1,212万円(世帯年収1,500万円)

(内訳)

夫Aさん手取り額:年650万円(年収800万円)

妻Bさん手取り額:年550万円(年収700万円)

児童手当:特例給付として年12万円(月5千円×2人)

 

【妻退職後の収入】

手取り額:年686万円(世帯年収800万円)

(内訳)

夫Aさん手取り額:年650万円(年収800万円)

児童手当:年36万円(月1万5千円×2人)

 

【支出】

年間支出合計額:年830万円

(内訳)

生活費(食費、日用品費、通信費、予備費):年240万円

教育費(習い事代含む):年230万円

住居費(固定資産税、火災保険):年20万円

住宅ローン:年100万円

保険代:年80万円

車輛費(ガソリン代、車保険):20万円

娯楽費(小遣い年120万円、旅行代年20万円):140万円

 

妻の退職により世帯年収が1,500万円から800万円へと半減しました。

これまでは掛け捨て保険はもったいないと思い貯蓄型の保険料の高い保険に複数加入していましたが、

夫がもしもの時の保障を重視した割安の掛け捨て保険に変更し、保険料年80万円⇒年35万円に見直しました。

そして、これまで小遣いが夫婦で月10万円(年120万円)だったものを、月4万円(年48万円)とし、

娯楽費年140万円⇒年70万円とする計画を立てました。

それにより家計の支出合計額を年830万円から年715万円と115万円見直すに至りました。

しかし、家計収支は年間約30万円の赤字です。当面の間は、妻Bさんの失業保険と退職金、これまでの貯蓄でカバーはできますが、

高校・大学への進学や老後資金の準備のことを考えた場合、いずれかのタイミングで妻Bさんも働いて収入を得る必要があるでしょう。

 

教育費は長期的な目線が不可欠。教育費を含めた家計管理で抑えるべきこととは?

 子どもを早い段階で私立学校へ進学させることは、家計の中での教育費負担がより大きくなります。

そのため長期で家計が成り立つのかを検証する目線を忘れてはなりません。

 しかし、長い人生の中で、想定外の出来事が起こることはあるでしょう。

 

今回のAさん夫婦は想定外の収入減があったとしても、子どもにかける教育費は優先事項でした。

それゆえに、保険料と娯楽費の見直しに至りました。さらには、妻Bさんの今後の働き方のヒントにもなりました。

しばらくは体調に配慮しながら、子どもとの時間を優先した働き方をされるとのこと。

 

人生設計を考える上で大切なことは、今回のAさん夫婦のように家計のお金の流れを見える化し、家計のお金の使い方に優先順位をつけることと言えるでしょう。

そのためにも定期的な家計収支と優先事項の確認をしていきましょう。そして、万一の時にも、慌てることなく同様のことをされることをおススメいたします。

 

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筆者:南真理(ファイナンシャルプランナー)

〈プロフィール〉

17年間、大手信託銀行に勤務したのち、2022年FP事務所as isを設立。現在はライフプランを作成し、資産運用の提案や家計改善のアドバイス、

転職や起業したい方の経済面でのサポートなど、幅広く個人向けに相談業務を行っている。

お客様に寄り添った丁寧で分かりやすい説明が大変好評をいただいている。

また相談業務だけでなく複数のメディアでの執筆活動も行っている。

資格:AFP・FP2級技能士 宅地建物取引士 証券外務員2種・1種

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