column
空き家と相続 第5話~空家のままにしておいたら何が問題なの?固定資産税はどうなるの?~
2023.08.18 相続・遺言
空家の所有者は10年前に他界。
そこに住み続けている長男。
転勤になったので売りたいなあ。
このままで売れる?~増え続ける空家の売却で気をつけること
アミアカルヴァ行政書士法人 代表行政書士 竹原庸起子です。
近畿地方の山村に住んでいる30代の男性Aさんからの、「もう住まなくなる家を売ってほしい」旨の相談。
第4話では、遺産分割協議のため、Aさんが親戚に聞くなどしてEさんの所在を突き止めてから
アミアカルヴァ行政書士法人の相談員へ連絡があることになっていることを述べましたね。
あれから1カ月ほどしてAさんからアミアカルヴァ行政書士法人に連絡がありました。
その電話ではAさんは2点伝えてくださいました。
まず1点目は、Eさんの住んでいるとことがわかり、Bさんにも遺産分割のことが話せたということです。
Aさんは、「Eさんの住んでいるところは親戚筋を頼って、ようやくわかりました。
Eさんに、遺産分割のことを伝えるために手紙を書いたところです。
その返事を待っているところですので、もうしばらく時間ください。
弟であるBさんは、この物件の土地建物の名義を私だけのものにすることは快諾してもらえました。」とおっしゃいました。
2点目は、AさんはBさんにこの話をしたときにBさんからこう言われたとのことでした。
「兄さん、転勤してもうこの家には住んでないんだよね?空き家になってしまっているんだよね?
兄さんの名義にしてから売るのはいいけど、家はほっておくと傷むし、早めに売りに出した方がいいよ。
古い家だから建物付きで買ってくれない場合は
先に取り壊してしまって更地にしてから売ったらどうかと思ってたんだけど、
土地を更地にすると固定資産税が6倍くらいになるらしいよ。
だからもし取り壊して売れなかったら、高い固定資産税を兄さんが払うことになるし、
更地にしないで売りにだして、売れたら売るというのでどうだい?
安くでしか売れないんだったら無理することないよ。
兄さんは仕事を持っているし生活には困っていないだろ?
高く買ってくれる相手が出てくるのを待ったらどうかな。」と。
つまり、空き家になってから取り壊して売ると土地の固定資産税があがるから、
空き家のままにしておいても支障がないだろうからそうしたいとのことでした。
アミアカルヴァ行政書士法人の相談員はこれに対して、次のようにアドバイスしました。
「空家にしておくと、最近は放置空き家の問題が露呈していて、空き家対策特別措置法の施行により
特定空き家に指定されたら建物が建っている土地の固定資産税が安くなる措置がなくなることになりました。
(参照:国土交通省ホームページ 空き家対策特別措置法)
それに空家にしておくと傷み、外部不経済というリスクも大きいのです。
(参照:国土交通省ホームページ 外部不経済について)
空家は近隣へ様々な被害を及ぼすかもしれません。さらに、相続開始後約3年以内に空家を譲渡したら譲渡所得税でも特例がありますよ。
(参照:国土交通省ホームページ 空き家の発生を抑制するための特例措置について)
さらには相続登記の義務化の措置も始まります
空き家にしておくことは、何もメリットがないのです。
Aさんは、初めて知ったことばかりだったようで、「また自分でも調べてみます。知らないことばかりでした。」と、喜んで帰られました。
今回のような相続したが空家になる物件は、そうなることがわかったらすぐに専門家に相談してくださいね。
次回へ続きます。お楽しみに。