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終活のきっかけは旅行から~素敵なご一家のお話
2024.10.22 相続・遺言
アミアカルヴァ行政書士法人代表行政書士竹原庸起子です。
年末にかけて慌ただしくなる中、秋の旅行シーズン到来です。
今回は、家族の旅行をきっかけとして「終活」を始めたご一家のお話をします。
日常の生活では言い出せないご自身の財産のこと、旅行という非日常の場面で家族を話しをする機会にされませんか?
<残す不動産と手放す不動産をどうするのか、家族で話し合った結果・・・・>
アミアカルヴァ行政書士法人昔からのお客様T様ご家族のお話です。
兵庫県にお住まいなのですが、たまにしかいらっしゃらない大阪にたまたま来たということで、弊社にふらっと寄ってくださいました。
T様は、昔、アミアカルヴァ行政書士法人のサポートにより公正証書遺言書を作成されました。
その内容は
「自宅は長女へ、ほかに所有している2階建てビルは長男へ、預貯金はすべて奥様へ、自身が創業した会社の株式は長男へ」という内容でした。
推定相続人は奥様、事業を継いだ長男、嫁いだ長女でして、とても仲のいいご一家です。
この遺言内容にした想いは、相続税の対策よりも家族の想いをつなぎたい、2階建てビルと株式はT様が創業した会社を継いだ長男へ渡し、
同居していないがいつも自分を気にかけてくれた長女へ自宅を引き継がせ、自分が先立ってしまったときにのこされた妻を任せたい・・・・というものでした。
そんなご一家が、一族で温泉旅行へ。
久しぶりの旅行でゆっくり温泉にはいり、おいしい料理に舌づつみ。それはもう楽しかったそうです。
その旅行では、T様は
・自分が遺言書を残していること
・ほかに今やっておくべき終活はないか、あれば一つずつ片づけてしまいたい
・自分の生まれてから今までの歴史、つまり自分史のこと
を、長男長女とその子供たち、つまり孫に話をして、思う存分言いたいことを言えたそうです。
旅行が終盤にさしかかったとき、T様が長女と二人だけになったときにいきなりこんな話をされたとのこと。
「いま住んでいる家は売ろうとおもってるんだ。不動産神話のせいで、家を手放すことに躊躇していたけれど、不動産は使いたい人が使うことに価値があると思うんだ。
家を売ってお金に換えて、お母さん(妻のこと)と一緒に施設に入ろうと思っているんだ。とても気に入ったところができたんだ。
お母さんと二人で仲良く最期まで暮らして、自分が先立ったときはお母さんもその施設で友達と楽しく暮らせるから。
おまえ(長女)が相続するものはなくなるけれどいいかい?おまえが家を相続しても住めないだろうし、空家になったらそのあとの処分も大変だろう。
あいつ(長男)ばかりに財産がいくことになるから、こんなこと言いだしにくいなあとも思ったけれど。」と。
そこで長女はこう答えました
「うん、いいよ。私は財産はいらないから。お母さんとお父さんが自分で作った財産をどう使おうがワタシが何か言える立場にはない。
ワタシは今、だんなさんのおかげで何不自由なく暮らしているから。今回のこの豪華旅行でじゅうぶんだよ」と。
T様は手放す不動産と、つなぐ不動産をじっくりと考え、相続のときにすっきりさせたかったのです。不動産は相続税対策になるという話で、
持ち続けた方がお得だという神話もありますが、それよりも自分と奥様との幸せ、そして自分が創業した会社の未来のためには、あえて自宅を処分することがいいと考えたのです。
終活は自分がご機嫌になるために取り組むものです。
はたして人のために、子どものためにと考えばかりいる必要があるのだろうか?と考えさせられる素敵なご一家のお話でした。