column
児童手当も無駄にしない!子どもの大学進学への一歩をサポートする貯蓄方法
2024.10.01 ファイナンシャルプランニング
大阪府門真市のFP事務所as is代表ファイナンシャルプランナーの南真理です。
子どものいるご家庭にとって、教育費は避けては通れない支出になります。
その中でも大学にかかる費用はまとまった資金が必要であり、事前に準備しておきたいです。今回は教育費の貯め方を事例をまじえて解説していきます。
大学にかかる費用はどれくらい?
文部科学省が発表した2023年度の学校基本調査によると、大学進学率は57.7%と公表されました。
短大や専門学校への進学も含めると84%もの進学率となっており、大部分の学生が高校卒業後も進学を選択していることがわかります。
大学にかかる教育費は、国公立か私立か、理系か文系か、自宅通学か下宿かなどによって大きな差があります。
例えば、国公立の自宅通学で約480万円、下宿であれば約810万円必要です。また私立文系の自宅通学であれば約670万円、下宿は約980万円となります。
(生命保険文化センター 大学生にかかる教育費はどれくらい? )
このように大学の費用はまとまった資金が必要になります。直前になって慌てることのないように早めの行動がおススメです。
児童手当は大学の費用のために貯めておこう
教育費を貯める手段として、児童手当があげられます。児童手当は約200万円貯めることができます。
児童手当だけで大学の費用全額を賄えるわけではありません。しかし、児童手当を大学の費用のために貯めておくことは、大変有意義な使い方と言えるのではないでしょうか。
児童手当は2024年10月から制度が変更されます。(児童手当制度のご案内)
内容は以下の通りです。
・所得制限の撤廃
・支給期間を中学生までから高校生年代まで延長
・第3子以降の支給額が3万円に
・支払い月を年3回から年6回に増加
教育費を着々と貯めているMさんの事例
高校1年生(16歳)と中学1年生(13歳)の子どもがいるMさん夫婦は、コツコツ貯蓄をし、現在は約1,600万円の金融資産があるそうです。
こちらのご家庭の貯蓄方法を確認しましょう。
〈プロフィール〉
Aさん:45歳。会社員
妻:45歳、会社員
長男:16歳、高校1年生
二男:13歳、中学1年生
【収入】
世帯収入合計:年800万円(手取り年650万円)
Aさん:年500万円(手取り年400万円) 妻:年300万円(手取り年250万円)
【支出】
支出合計:年634万円
生活費(食費、日用品費、光熱費、通信費):年240万円
子ども費(授業料、習い事代):年150万円
住宅ローン:年80万円
車輛費:年20万円
保険料:年20万円
積立投資(NISA):年24万円(月2万円)
娯楽費(夫婦小遣い、旅行代):年100万円
【金融資産】
金融資産合計:1,600万円
(内訳)
普通預金:1,100万円
投資信託(NISA):300万円
保険(学資保険、定期保険):200万円
① お金の貯め時を知っている
Mさんは、長男が生まれてすぐにFPにライフプランの作成を依頼しました。ライフプランは、家計の収入と支出を洗い出し、お金の流れを把握することができます。
そのため、いつのタイミングでどれくらいのお金が必要なのか、いつが貯蓄しやすい時期なのかが分かりました。
Mさん夫婦のお金の貯め時(お金を貯めやすい時期)は、子どもが生まれてから小学生卒業までの12年間でした。年間120万円を目標に貯め続けました。
反対に、現在は子どもの教育費や食費にお金がかかるため貯蓄はしづらい時期になっています。
子どもの大学卒業後から退職して収入がなくなるまで(Mさん夫婦54歳から65歳までの11年間)再び貯め時となりますので、老後資金の準備に取り掛かる予定です。
② 先取り貯蓄をしている
先取り貯蓄とは、給与が入った直後に自動的に貯蓄をすることです。Mさん夫婦は、給与が入ればすぐに、貯めるお金を貯蓄用口座に移しています。
先取り貯蓄のメリットは、収入から貯蓄を引いたお金で、生活が自然とできるようになることです。
③ 金融資産を分散している
Mさん夫婦は、普通預金といった預貯金以外にも保険やNISAで積立をしています。
学資保険と定額保険を子どもが生まれてすぐに契約しました。契約した保険は、低金利で増える期待はありませんが、
途中でやめると払込金額が下回るという解約のしづらさがあり、お金に鍵をかけておくことができます。
また、NISAでの積立投資は将来売却した時の利益が全額非課税となる点や増える期待があります。
ただし、教育費を積立投資で貯める場合、必要な時に元本が下回っている可能性があることは気を付けるべき点です。
④ 定期的に資産の確認をしている
Mさんは投資信託を運用していることもあり、半年に一度は定期的に家計の資産残高を確認するようにしています。
その都度、軌道修正ができ、今度の対策を立てることができています。さらに、保有している投資信託は、株価や為替で値動きがあるため、
経済動向にも興味を持ち、マネーリテラシーが向上したとのことです。
##お金を貯めるには地道にコツコツしかない
Mさん夫婦は、特別なことは何もしていません。家計のお金の流れを把握し、適切なタイミングで貯蓄できるように計画を立て、きちんと実行したことが結果に繋がっているのです。
教育費も地道にコツコツ貯める以外の方法はありません。今日から始めて、すぐに目標とする金額に到達することは決してありません。
子どもの未来を応援するために、今からできることを始めてみましょう。
―――――――――
筆者:南真理(ファイナンシャルプランナー)
〈プロフィール〉
17年間、大手信託銀行に勤務したのち、2022年FP事務所as isを設立。現在はライフプランを作成し、資産運用の提案や家計改善のアドバイス、
転職や起業したい方の経済面でのサポートなど、幅広く個人向けに相談業務を行っている。
お客様に寄り添った丁寧で分かりやすい説明が大変好評をいただいている。
また相談業務だけでなく複数のメディアでの執筆活動も行っている。
資格:AFP・FP2級技能士 宅地建物取引士 証券外務員2種・1種